(5) ビジネス交渉本番 Part 1

ビジネス交渉でまず重要なことは、提案をする前にあきらめないこと、また、どうせ断られるのではないか、と先走って考え過ぎないことです。くよくよ悩まず、遠慮せずにまずは自分の主張をぶつけてみてください。私の経験でも、こんな提案、絶対無理だろうと思いながら、試しに出したものが、すんなり相手に受け入れられたことがありました。まず言ってみることを躊躇しないでください。

アメリカ人との交渉は、常に双方がいろいろな提案を出し合いながら、合意できるポイントを探りあうプロセスです。その際にやってはいけないのは、上記しましたが、これでは受け入れないだろうと勝手にきめつけて引き下がることです。これを英語ではDon’t discount your proposal before you propose it (提案する前にあなたの提案を値引きするな)と言います。

相手が納得する、あるいは合意するポイントは実は意外な点だったりします。日本人は交渉相手に対して、妙な忖度や遠慮をして、こんなことを言ったら怒り出すのではないだろうかと遠慮してしまうことがありますが、提案してみると意外に受け入れられることもあることが実際にあります。提案する前から妥協してしまった提案は不利になるだけでなく、本来ならもっと良い条件で合意できたチャンスをみすみす逃してしまっていることに早く気がつくべきであると思います。

アメリカ人との交渉では、相手がこちらが思ってもいないところで折れたり、逆にひどく抵抗されたり、いろいろなことが起こります。うまくいかない時には、相手にAnother Agenda(別の目的、別のたくらみ)があるのではないかと疑ってみるのもよいかもしれません。それがわかれば交渉がスムーズに進む場合もあります。

原 一宏 について

早稲田大学理工学部卒業後、日本電気株式会社(NEC)で、30年以上にわたり、アメリカとカナダの市場向け通信機器の営業を担当。両国のマーケットで新規開拓から交渉、契約締結まで、英語で約1000億円超の商談をまとめてきた。入社2年目、初めての海外出張の際に、日本で学んだ英語はほとんど役に立たず、現地のビジネス文化や慣習を踏まえない英会話はトラブルを招くことを知る。その後、アメリカとカナダへの通算2年間、計150回以上に及ぶ出張経験と、カナダ・トロントの現地法人での6年間の勤務、300人以上との商談での交渉経験を通して英会話術を磨く。英検1級、国連英検A級、英語通訳ガイドの資格を持つ。
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